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『 桃林窯 器こぼれ話 』

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ピッキーの失踪

「ちょっと、川の方を探しに行って来る。」
そう言って、雨の中をナンは出かけて行った。
ピッキーがいなくなって、もうかれこれ一か月近くが過ぎようとしている。

いつものように、ふっといなくなった。
大抵2~3日で帰ってくるが、今度は長い。
いくらなんでも長すぎる・・・。

ピッキーを最後に見たのは、土砂降りの水曜日の昼ごろまでだ。
その日は実家に行くことにしていて、
ベッドで丸くなって寝ていたピッキーを起こさずに、そっと出かけることにした。
帰ってからやるつもりで、ミルクもドライフードも置かなかった。

私達が戻ってきたのは夜の10時を回った頃だろうか。
ピッキーはいなくなっていた。
次の日も、また次の日も帰ってこなかった。
梅雨まっただ中の九州は、毎日スコールのような雨が降っている。
こんな雨の中を、いったいどこに行ったのだろう。

近所に聞いて回ったが、見かけないとみんな言う。
もしや車の事故にあったのではと、そんなことが頭をよぎった。
村中の道路や溝を、くまなく捜してみたが、
蛇が一匹死んでいる他、何も見つけることが出来なかった。
山の方も、森の中も名前を呼んで歩いてみたが
虫の音が聞えるばかりだ。

一キロぐらい離れた山の空き地で見かけたことがあると、村の人が教えてくれた。
半年ぐらい前のことだそうだ。
「半年前・・。」
雨が小ぶりになるのを待って、山の空き地に行ってみた。
草が伸び放題に茂っていて、あたりは静まり返っている。
みる人もいない石仏が、隅っこに転がっていた。

「ピッキー!」呼んでみたら、遠くで猫の鳴き声がしたような気がした。
ヒグラシが、急に大きく鳴き出した。
空耳・・・、悲しさが一気に込み上げてきた。
「ピッキー!!」もう一度、呼んだ。

「ニャ~」
え?今確かに、声が聞えたような・・・。
「ピッキー!!」

「ニャ~」今度ははっきりと聞えた。間違いなく、ピッキーの声だ。
やがて草むらから、なんとピッキーが現れた。
痩せてはいたものの元気にしていた、汚れてもいない。
「ピッキー!! 」
小走りで近づき、ずいぶん軽くなったピッキーを抱きあげると、涙がこぼれそうになった。
ようやく、見つけた・・・。

「一人ぼっちで、ずっとここに居たの?」
「ニャ~」ピッキーはもう一度鳴くと、体を反転させ
今度は体を強くすり寄せてきた・・・。                 キーマ




茂った草むらから、返事をしながらひょっこり顔を出したピッキー。

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家に連れて帰った後は、数日間は眠ってばっかりだった。

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ピッキー専用のベッド。
クンもここに一緒に眠りたいらしいが、クンにはしばらく遠慮してもらおう・・・。

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久しぶりに晴れたので、庭に連れて行った。
眠くてぼんやりしている。
クンが遊んでもらいたくて、そばでうずうずしている。

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猫は狭いところが好き、
何が楽しいのか、買い物かごの中にきちんと納まっている。

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足つきの小さな箸置き。
最近足つきにすることが多い。
薬味入れにも、かわいいと思う。

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櫛目の入った粉引きの小鉢。
先日上がったばかりの新作だ。
小振りで、重なりもいい。
夏向きで、薄くて軽い。

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鉄絵の入った粉引きの皿に、イカ墨のパスタを載せた。
ニンニクが利いていて、めちゃくちゃ美味しかった。
にっと笑うと、すごいことになる。

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by my_utuwa | 2009-07-13 23:16