村にはあちこちに観世音菩薩や弘法大師、阿弥陀仏などの石仏を祀っている。
村の人はやくじんさん、かんのんさん、てーじんさんと、まるで隣人を呼ぶみたいに
親しみを込めて呼んでいる。
やくじんさんは、村でむかし疫病がはやった時に建てられた石仏、
てーじんさんは大宰府の天満宮の流れをくむ石仏だ。
8月7日はやくじんさん、8月17日はかんのんさん、8月25日はてーじんさんのお参りの日で
これらの日は、村の人がこぞって、夜のお参りをしなければならない事になっている。
当日は朝から山の入口に旗がたつ。お参りの日が来たことを皆に知らせるためだ。
8月25日、僕はてーじんさんの旗立て当番になった。
早起きして、公民館の倉庫から旗を取り出し、山の入口まで運ぶ。
村の世話役が山頂にござを敷いて準備完了。後は夜を待つだけだ。
古場の村には、街灯がほとんど無い。
夜になると、皆が手に手に懐中電灯やロウソクを持って、暗がりの参道を上がってくる。
山頂は、参拝の人たちがあげたロウソクや線香で、もうもうとしているが、
幻想的でなかなかいい雰囲気だ。
まわりに並んだお地蔵様も、久しぶりの賑わいに、楽しそうにしている。
お参りを済ませてから、ござに腰をおろし車座の中に加わる。
15頭のうり坊を連れた母イノシシの話や、むじなが畑に悪さをして困るとか、
老人会が忙しくて、おちおち病気も出来ないだとか・・・、
おみき片手に、持ちよった漬物やスルメなんかをかじりながら、
屈託のない明るい笑い声が、深い山の中に響いてゆく。
夜もすっかり更けたころ、「お花」をもらってお開きになる。
夜空には、降り注ぐような満点の星。
田舎暮らしは豊かな人情に満ちている。
粉引きの角皿に、自家製のヨーグルトアイスケーキを載せてみた。
この角皿は重なりがいいので、食器棚の中でもコンパクトに納まる。
取皿としても手軽に、気軽に使えそうだ。
大胆に刷毛目を施した飯椀。
こんな茶碗で、お茶漬けをかきこみたい・・などと思ってる。
冷えた水ナスなんかがあったら最高だ。
掌に入るくらいの小さな足つきの器。
用途は全く考えず、気ままに指に任せて作ってみた。