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『 桃林窯 器こぼれ話 』

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名残のお茶会

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それは一本の電話で始まった。
うちのギャラリーで、お茶を飲んでいるお客様の携帯が鳴った。
「今?桃林窯よ。お茶しているの・・・」
「わかった。キーマさん誘ってみるわね・・・」
電話が終わった後、「キーマさんお茶会にいらっしゃらない?」と誘われた。
「えっ?お茶会って、あのお抹茶のお茶会?」
「ええ、でもね、気軽なものよ、ぜひ来て!!」
「そうですね、行っちゃおうかな・・」
気軽な気持ちでお返事したものの、後から届いた招待状で驚いた。

なんと会席料理やお濃茶、お薄茶まで出る本格的なものなのだ。
場所は、老舗の旅館のお茶室だ。
「こりゃ、えらいことになったな・・」
お濃茶なんて飲んだこともないから作法も知らない。
お断りしようと電話を入れたら、「平気、平気」と、結局説得されてしまった。

当日茶室に行ってみると、みんな着物姿なのだ。
なんだか嫌な予感がした・・。
まだあんまり慣れていなさそうな人の後ろにくっ付いて、
おんなじようにしよう・・と覚悟を決めた。
そう、落語の「長屋の祝言」のように、
庄屋の旦那がお芋を転がしたって、おんなじようにしちゃえばいい。

覚悟を決めてお茶室に入ったものの、「扇子は後ろよ・・」とお隣から
小さな声で、声がかかった。周りを見ると私以外は皆後ろに置いている。
慌てて後ろに置いて、置き場を手探りで探していたら、
「ねえ・・、それ私の扇子・・」と、また声がかかった。

いよいよお菓子が出てきた。ドキドキしてきた・・。
「お先に」と、前の慣れていなさそうな人が私に挨拶したので
自分の黒文字を出そうとしたら、「そんなもの出すんじゃないのよ・・」と
またまた隣から声がかかった。
「え?そうですか・・?」と答えたけれど、
目の前には大好きな栗のお菓子があるではないか・・・。
京都からのお取り寄せと、亭主がいう。
もうすっかり周りを忘れて、いきなりお菓子を頬ばった。

「おいしい!!」ついつい、声に出してしまった。
よく見ると、両隣も私と似たり寄ったりでぽろぽろとこぼしながら
栗のお菓子を頬ばっている。
「フフ・・、食べにくいわよね、これ」
お隣も「私、手づかみで食べちゃおかな・・」とか言っている。
もう両隣ともすっかり和んでしまって、いつもの自分に戻った。
お軸や茶入れ拝見の時には、後ろ隣が足をしびれさせて転んでいる。
もう、何でもありだ。

こうして、楽しいお茶会は無事に終わったものの
たぶんもう二度と声はかからないだろうなぁ~と、
鰯雲を見上げながら、小さなため息をついている。           キーマ





旅館の入口に活けてあった大きな甕の花木。
打水がされていた。
お茶会のはじまり・・。

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ちょっとピントがボケていてごめんなさい。
カメラを出すのがはばかられるくらいの雰囲気。
カメラの手前には、着物姿のご婦人たちが茶室の準備が整うのを
静かに待っている・・。

サトイモやサツマイモがあしらわれていて、お隣には兎。
10月のお茶会には、ぴったり・・。

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これも実は、ドキドキしながら撮りました。
お薄茶のお部屋のあしらい。

素敵な茶道具の向こうには竹の中に、朝採リの野菊が活けてある。
見えにくいけど、炭はわらを蒸し焼きにしたという凝りよう・・・。

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わぁ~、実はこれが楽しみなんだな・・・。
お刺身も美味しかったけれど、何と言っても右に見えている土瓶蒸し。
そう、マツタケ入り・・・!!
ナンには悪いけれど、お持ち帰りできないから全部いただきま~す!!

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桃林窯のお茶碗。
大胆な刷毛目椀。

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こちらは、しのぎ入りの粉引きの茶椀。
ナンにはこれでお茶会の雰囲気だけでも味わってもらおうかな・・・。

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by my_utuwa | 2012-10-16 20:56 | Comments(9)