『 桃林窯 器こぼれ話 』

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「天外天」 てんがいてん


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雑木林の中にわずかばかりの土地を買い求めたのは今から15年ほど前だ。
当時このあたりは、村の人しか立ち入ることがない里山だった。

雑木林はうっそうとしていたが、それでも紅葉の時期になると
景色は目を見張るほど美しく変わった。
この場所に、自分たちにとって心地のいい工房とギャラリーを建てることを思うと、
やはり自然の中に溶け込む建物しか考えられない。
日本建築を基本に、ちょっとレトロ感が漂うような、
少し無国籍風に演出して、新しさも出したい。
そんなイメージの建物を建てたくて、あれこれデザインを考えた。
できあがった建物は、予算の関係で必ずしも満足のゆくものではなかったが、
それでもまあまあの出来栄えだった。

その建物も年月が経つと、あちこちが傷んできて毎年どこかを修理している。
そして今年は、ギャラリーを改装しようということになった。

ギャラリーの手直しはこれで、4回目になる。
おもに雨ざらしで傷んだデッキの張り替えが多かったが、
さすがに再びとなると、少々うんざり感が漂ってくる。
外に置きっぱなしのテーブルや机の修理もたびたびだった。
唐突に「屋根をつけたい!」とキーマが言いだした。
森林浴をしながらお茶を飲みたい、というコンセプトで作ったデッキだったが、
不便なことも多かった。
雨の日や、暑い日、寒い日は、全く使えない。
第一、窯開きの期間は天気を見ながらの設営で
焼き物を出したり引っ込めたり、それだけで疲れてしまう。

「屋根だけ付けてくれたら、それでいいんだけれど・・」とキーマ。
「強い南風が吹く季節は、屋根だけだと風にあおられて危ないぞ」
「じゃ、壁も付けようか・・」
「そうだなぁ・・、予算に収まればば床も張りたいな・・」
「そしたら、大開放の窓にしてもらって、雰囲気をこわさないように頼んでみない?」

そんな、こんなで予想外の増築の方向に進んでしまった。
恐る恐る工務店に見積もりを頼んでみると、意外に安い見積もりを持ってきた。
「いいですよ、ちゃちゃっと1週間で作ります!」
知り合いの工務店が安請け合いしてくれた。

軽い返事とは裏腹に、工事は一カ月近くかかってしまい、
大工さんの追加料金を払うはめになってしまった。
でも、出来あがったギャラリーは、満足のいくものだった。
新しくなったギャラリーを、キーマは上機嫌で毎日あちこち磨いている。
窓からの眺めが宙に浮いているような、素敵な空間だ。

「天外天」 てんがいてん
新しいギャラリーを、僕らはこう名付けた。        
                     ナン







木々に隠れて見えにくいが、この天外天、
山の斜面に立っている。
硬い岩の上に、鉄骨で基礎を作った。
下からのぞくとちょっとスリルがある。

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坂を上っていくと、大きな窓が迎えてくれる。
前にはコデマリを植えていて、ずいぶん大きくなった。
中のイスに座ってみると、半分木々に隠れて心地がいい。

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入口。
左右の扉が違うのが気に入っている。
工務店が、古い昔の戸を保管していたものを譲ってもらった。
杉戸の取っ手はナンの手作り。
裏山から切ってきたもの。

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入口を入ると、正面に大開放の窓がある。
「わ~、ステキ!!」と駆け寄ったお客さんの足が止まる。
怖くて足がすくんだそうだ。

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今まで使っていたギャラリーは、まったくそのまま。
増築した分、少し暗くなった。
でもそれがかえって落ち着く雰囲気になった。

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入口近く、正面にコデマリが見える席。
窓越しに黒髪山も見える。
木漏れ日が差すキーマお気に入りの席になった。

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ちょっとした空間を、作ってみた。
一人でゆっくり珈琲を飲みながら、本でも読みたい人のために・・。

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以前のギャラリー入口。
手前の李朝家具は、ずいぶん昔に骨董屋で見つけたもの。
今まで自宅の玄関に置いていたものを移動させた。
家具にはここが良かったのか、すんなり収まった。

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ナンの最近一番の、お気に入りの作品だ。
一尺ぐらいはある。
ド~ンと存在感があって、土のグラデーションが美しい。
みんなここで立ち止まって、「いいなあ~」とつぶやいて下さるのが
とてもうれしい。

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              26×31.5cm  高さ5.5cm  5万円




黄瀬戸の平茶碗。
粗い土の風合いをそのまま生かした茶碗だ。
ゆったりとしたロクロの目が、おおらかだ。
抹茶を立ててみたら、きめ細やかな美しいお茶がたって
飲み心地がとてもよかった。

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                   桐箱付  2万円




茶碗を、やや横から撮ってみたワンショット。
見えにくいが、しっかりした高さの切り高台になっている。

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by my_utuwa | 2010-10-21 13:31 | Comments(20)

結婚式の引き出物

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ひと月後に結婚式を控えている若い女性が、
両方の母親と共にうちのギャラリーへ来られた。
ニコニコと控えめの笑顔が、とても幸せそうに見える。
「もう籍は入れていますが、披露宴はこれからなんです。
引き出物って、今から注文して間に合いますか?」
「間に合うもなにも、何とか間に合わせなくっちゃね。」
ナンは、カレンダーを見ながら答えていた。

「どんなのがいいですか?」
「う~ん・・・、皆さんどんなのを頼まれるんですか?」
「カップ類が多いかな?」
「でも、せっかくだから好みと予算に合わせて
オーダーメイドのオリジナルを作りましょうか・・」とナン。
「えっ、ほんとですか?」
とたんに女性の顔が輝いた。

ギャラリーにあるカップ類をいろいろテーブルの上にのせて話し合いが始まった。
ナン) 「こんなのどう?大きい?」
女性) 「いいえ、コーヒー好きの方たちが多いから、職場で使えるような
     こんな大振りがいいな。色はこっちのカップの方が好きなんですが・・」
ナン) 「ハハ・・、いいですよ。じゃそうしよう!!」
    「男性用と女性用に分けて、女性用には別に作りましょうか?」
女性) 「女性用には、お料理好きな人が多いから、実用的なお皿がいいな・・」
ナン) 「一枚で使えるような、存在感のあるたっぷりとした粉引き皿はどう?
     みんながアッというようなもの作っておくよ」
女性) 「えっ、いいんですか?」

「ちょっと~、予算にぜんぜん合わないよ。ナン・・」心の中でそう思うけど
もう止めようがない・・。
好きなものしか作らないナンの頭の中で、予算はとっくにとんでしまっていた。
ナン) 「ラッピングはキーマ担当だから、好みを言ってくださいね。」

バトンタッチされてしまった。
ラッピングとなると、やっぱりちょっとこだわりたい。
キーマ) 「秋だから、秋色のイメージで行きましょうか?
      紐は麻でナチュラル感を出して、こんな感じはどうですか?」
女性)  「わっ、いい!!」

すんなりと決まった。
コーヒーを飲まれた後、「じゃ、お願いします。楽しみだな・・。」
見送った後、だんだん心配になってきた。
「ねえ、ナン。予算内に収まるかなあ・・」
「う~ん、何とかなるでしょう!」
ナンが敬語を使う時は、ちょっと怪しい。

そうして1か月後、無事に納品が終わった。
喜んでくれたかな?

結果はまだ聞いていないが、
二人がまた訪ねてきてくれるのをとても楽しみにしている。 
                              キーマ




これが女性用の長角皿。
ボリュームがあって、存在感がある。
新郎の母親が、私も欲しい・・と更に10枚注文してくれた。

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ちょっとわかりにくいかな?
大ぶりの粉引きのカップ。
下にくぼみがあって、持ちやすい。

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ラッピングは、わたしの担当。
秋の紅葉をイメージして、あれこれと色合わせをした。
おめでたい感じも出したいから、こんな紐の結び方はどうだろう?

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手入れをしていない庭に、ススキが立っている。
でも、秋っぽい感じがなかなかいい・・。
このままにしておこう・・。

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白萩がそろそろ終わりに近づいてきた。
下に落ちる花びらを、こぼれ萩というらしい。

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今日は、スリランカカレーを作ってみた。
タイカレーにちょっと似ている。
ココナッツミルク味が特徴的。
スリランカカレーのパウダーは、お客様からのいただきもの。
ごちそうさまーっ!!

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ピッキーは元気ですか?と最近、お客様からよく聞かれる。
元気です!この通り!!
日向ぼっこしている所を、一枚・・。

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ついでにクンも、一枚。
寒くなってきたので毛布を出してあげたら、
クンと同系色の毛布が気に入った様子。

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by my_utuwa | 2010-10-10 00:14 | Comments(20)