『 桃林窯 器こぼれ話 』

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ピッキーの別邸

最近ピッキーは、晩ごはんの時だけ帰ってくるようになった。
いつもは家にいない。
ご飯時だけ、どこからともなく姿を見せる。
そうしてたっぷり食べ、たっぷりと僕らに甘えた後、再び外へ出かけてゆく。
トイレにでも行くような、全く自然なそぶりで
そのまま次の日の夜まで帰ってこない。

次の日も、またその次の日もそうだ。
こんな日が、もうずいぶん長く続いている。
思えばクンが来てからは、こんな兆候が顕著になった。
ピッキーは、6カ月ぐらいの子猫の時から家出の癖があり、
大抵は2~3日、長い時で1カ月、ふっといなくなる。
当初は事故にでもあったのではないかと心配して、
キーマと二人、手分けして探したものだ。

最近では、ピッキーの家出にもすっかり慣れてしまった。
不思議なことに、ピッキーはいつもきれいなまま、帰ってくる。
ひょっとして、どこかの家に別の名前で飼われているのでは・・・、と、
そんなことも考えた。

ところがある日、僕らは気がついた。
ピッキーを探しに行く時、いつも同じ畑や空き地から出てくるのだ。
共通点は、一軒の空き家だった。
月に一度、管理人が見に来る、大きな庭付きの百姓家がある。
その百姓家を中心に半径、50~60メートルあたりから、
ピッキーは鳴きながら出てくるのだ。

今度も、いつものように居なくなったので、
まっすぐにその空き家に行って、庭からピッキーの名前を呼んでみた。
すると「ニャ~ン」と二階の方からピッキーの声がするではないか。
ピッキーは、この二階建ての、小屋付き、庭付きの大きな家に
ちゃっかりと独り暮らしをしていた。

夕べ僕らは、数日帰ってこないピッキーを迎えに行った。
「ピッキー!!」
二階から、すぐに「ニャ~ン」と声がして、
まだ帰りたくないと、返事だけが聞こえてきた・・・。     ナン





道路から入口を通って一枚。
ここがピッキーの間借りしている別邸だ。
入り口からすぐのところに、農機具小屋がある。

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今は農機具を置いてあるが、昔は牛か馬小屋だったと思う。。
小屋の奥のほうに、玉ねぎをぶら下げてあった。

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表の庭。
燈篭があって、梅や紅葉の古木があった。
手入れもされている。

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ピッキーの別宅を道路から見たところ。
裏庭も入れると300坪以上はある。

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風流な猫だ。

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わざわざお客様が持ってきてくれた、栗の渋皮煮。
栗は、キーマの大好物。
中まで、上品な甘みがしみ込んでいる。
それはそれはおいしいかった・・・。
せっかくなので、新作の粉引き皿に入れて一枚。

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粉引き椀。
珍しく、鉄絵入り。

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今までにたくさん陶箱は作ったが、重箱は初めて。
蓋付きの黄瀬戸。

行楽弁当をキーマが作ってくれた。
仕事が忙しくなってきたので、残念だが家で食べることになった・・・。

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小さな器は、料理屋さんのリクエストでできた特注品。
こんな風に、重箱の中に入れて料理を盛り付けるらしい。

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やっぱり晴れの器は、華やかでいいなと思う。

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by my_utuwa | 2009-10-31 22:08 | 猫たち | Comments(18)

仕事の道具

今から20年以上も昔、
クラフト系の学校を卒業した僕は、有田へ向かった。
有田でロクロをもっと習いたいと、思ったからだ。

練習に使う土は磁器用の土で、白くて滑らかだった。
考えてみれば、磁器の生産地で習うのに磁器用の土を使うのは当たり前だ。
僕は陶器と磁器の違いも深く考えずに有田へ向かってしまったのだ。

磁器用の土は曲者で、ろくろで成形しようとすると、
粘りがなく、こしも弱かった。
薄く引き伸ばすと、すぐにへたってしまう。
どうにも手に負えないと、当時の僕はつくづく後悔した。

先人も同じ苦労をしたらしく、この厄介な土を何とかうまく伸ばす工夫をした。
そこで考えられたのが、木製の「へら」だった。
形が牛の舌に似ていることから、「牛ベら」という。
修行中は牛べらを自在に使いこなす師匠の手が神業のように見えた。

今では、僕の道具の中では、一番大事なものになっている。
僕の牛べらは、県境を越えた長崎の、町はずれの床屋で作ってもらっていた。
牛ベらと床屋・・・。誰も結びつかないだろう。
僕も最初に聞いた時は、なにかの間違いではないかと思った。

でも手先の器用な、ここのおやじ、知る人ぞ知るへら作りの名人だった。
3~4年ほど前に、高齢でやめてしまってからは、
もう二度と手に入れることができなくなってしまった。
それからというもの、僕は四苦八苦しながら自分で牛べら作りをしている。
最近は、どうにか使えるのが作れるようになってきた。

おかげで自分たちの使うスプーンも、いつの間にか手作りになり、
キーマはすっかり喜んでいる、という訳だ。          ナン




これが、「牛ベら」。
四苦八苦しながら、当時作り始めたもの。
中央の大きなへらは床屋製、皿を伸ばす時に使う。
左右の自作2本は、湯飲みを作るときに使う。

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右のへらは、大皿を引くときに底の部分を締めるもの。
左は流木。知り合いの作家にもらった。
この流木、土を叩き締めたり、模様をつけるときに重宝している。

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右から、土を内側からふくらませるためのコテ。
中央、急須の口作りをするときの小さいコテ。
左、急須のふたをのせる「き」を作る時のへら。

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「しっぴき」と呼んでいる。
ろくろで成形をした後の器を切り離す時に使う。
糸は、好みの太さに縒って使う。
糸底の語源はここからきている。

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ステンレスのワイヤー、土の塊を切るためにホームセンターで買ってくるが、
極細は意外と高価だ。
扱いやすいように、木の枝にくくりつけている。

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内べらいろいろ。
以前はよく使っていたが、最近ではほとんど使わなくなった。
磁器の練習をしていた時に、よく使ったもの。
上のへらは、旧家に使われていた障子の腰板を再利用したもの。
正目の板は、100年以上の年輪があった。
今ではもう手に入らないだろう。
磁器の飯椀を作る時、このへらは抜群の働きをしてくれる。
下の2枚は市販のもの。

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刷毛目の平鉢。
以前買ってくれたお客さんが、とても使いやすいと、
片道2~3時間をかけて、わざわざ追加で注文に来てくれた。
見本を見ながら、久しぶりに作った平鉢だった。

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一尺ぐらいの大きさの、変形の大皿。
一部分を削って、インパクトのあるアクセントをつけた。
ボリュームがあって、存在感がある。
オードブル皿、チーズ皿、刺身皿などに・・。
人が大勢集まる時、こんな皿にドンと料理を盛り付けて
友達と一緒に楽しく飲む、というのはどうだろう。

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by my_utuwa | 2009-10-22 18:32 | 作陶 | Comments(12)

続・ナンの大工仕事

前回の、ナンの手仕事をアップしたら、意外と反響が大きかった。
ナンはすっかり、気を良くしている。
「キーマ、他の大工仕事も、アップしてくれないかな・・・。」
「いいけど、呆れられない?」
「そうだなあ・・・。」
そんな会話を交わしながら、ついでの第二弾となった。

ナンの父親の家系は、大工の棟梁が多い。
ナンの材木好きも、案外そんなところからきているのかもしれない。
もともと、物作りの好きな家系だ。
ナンは陶器を作るか、木工作家になるのか迷ったらしい。
陶器に進んだのは、たまたまだ。
クラフト系の学校に陶芸科があったためらしい。
動機なんて、こんなものかもしれない。
「どっちが良かった?」
「う~ん、そうだなあ。」
ナンにとって手仕事ができれば、どっちでもいいのだ。

今ではナンの大工仕事、趣味というより気分転換の意味合いが強い。
注文がたまってくると、まず始めるのが、工房の掃除だったり、
ホームセンターめぐりだったり、大工仕事だったりする。
これはナンが仕事を始める前の、儀式のようなものだ。
そんな時、私はナンをなるべく見ないようにして、放っておく。
見ると、つい「早く、取りかかったら?」と、言ってはいけない一言を
しびれを切らして言ってしまうからだ。
言ってうまくいったためしは・・・、ない。

そろそろ儀式は終わりかな?
そんな気配を感じるまで、ただひたすら気長に待つ。
最近になって、やっとそんな我慢ができるようになった。        キーマ




家を建ててすぐの頃、お金を使い果たした私たちは、
テーブルも買えなかった。
しばらくは、我慢するしかないな・・・と思っていたら、
ナンがどこからか天板を安く買ってきて
大工さんが片付け忘れた端材をくっつけて、テーブルを作ってくれた。

出来てみたら、買ってきたものよりこっちがいい。
ナンが自分のサインを天板の裏に入れていたのを見て、
私もちゃっかり、隣にサインを入れた。
平成9年3月7日と日付も入っている。

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パソコン用のテーブルも、ナンの手作り。
以前に、木箱入りのワインをいただいた。
その木箱を再利用した引き出しが付いている。
左側の、プリンターの下の引き出しが、それ。
パソコンの下の引き出しは、コピー紙入れだそうだ。

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先回アップしたイスの残り木を利用して作った、スプーン。
下にあるスプーンは2~3年前に作った。
使い込んでいるが、今でも現役。
グラタンみたいな熱い料理に、とても重宝している。
形が不ぞろいなのは、木の形をそのまま利用しているため、
でもこういうのって使っていて楽しい。

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愛用の雪平鍋。
付いていた取っ手が壊れたので、付け直してもらった。
ナンは裏山に行って面白い枝を見つけて付けた。
握り心地がとてもいい。
微妙にカーブしている所も使いやすい。

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近作の刷毛目鉢。
うちでは、ビビンバなどに、よく使う。
カレー、シチューなどにもいいと思う。
プレゼントなどにもよく使われる、手ごろな鉢だ。

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小さめの皿
スライスしたキュウリに、うちではめったに食べられないウニが載っている。
ウニは、いただきものだった。

この小皿、最近オープンした和風会席料理のお店の注文のひとつ。
お醤油皿に使う為だそうだ。
酒のつまみに、珍味皿としてもどうだろう・・・。

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by my_utuwa | 2009-10-12 23:28 | 日々の暮らし | Comments(28)

ナンの大工仕事


デッキの椅子で、コーヒーを飲んでいたご夫婦連れが、
突然はじけたように、笑い出した。
「いやだ~、あなた。壊しちゃったじゃない~!!」
外へ出てみると、ご主人がデッキに尻もちをついていた。
座っていた木製の椅子が、突然にぞろぞろと
スローモーションのように崩れ落ちたそうだ。
「何が起こったか、わかりませんでしたよ。いや~、ごめんなさい。
最近ちょっと太ったな~と思っていたら・・・。」
頭をかき、笑いながらご主人は答えた。

「いいえ、今年は雨が多かったから、椅子が痛んでいたんでしょう。
こちらこそ、申し訳ありません。お怪我はありませんでしたか?」
「肉布団を着ているから大丈夫、ハハハ・・。」

謝りながら、冷や汗をかいた。
怪我がなくて、本当によかった・・・。さぞ、驚かれただろう。
怒られても当然なのに、いい人でよかった・・・。

「主人ってね、いつもハプニングの人なの。
新しいところへ行くと、必ずなんか起るんです。あなた、大丈夫?」
奥さんは、笑いをこらえて聞いている。
謝りながら、このご夫婦といろんな話をしているうちに、
なんだかすっかり意気投合してしまった。
今では、毎週顔を見せに来てくれる。

「子供が巣立ってしまって、いまはもう二人だけなんです。
明日も来ようかな・・・。あんなハプニングがあったからかしら、
なんだかここに親しみが湧いちゃって・・・。」
「フフフ・・、いつでもどうぞ」

ナンに話したら、
「同じ時期に買ったもう一つの椅子、チェックしとかないといけないな・・」と言う。
念のために一脚外した。
二脚なくなるとさすがに不便だ。
すぐには予算がないので、ナンが作ると言い出した。
手先の器用なナンは、大工仕事も意外と得意だ。
天板は、売台として使っていたものを再利用することにした。
これは貧乏な時に無理して買った、掘り出し物の栴檀の一枚板だ。
出来上がってみると、これがなかなかいい。
座り心地も、素朴な感じも、うちにぴったりだった。

「これ新しく、作ったんですよ。座ってみてくださいね。」
再び来られたこのご夫婦に、薦めてみた。
「あら、これ、すご~くいいわ。
ねえあなた、ついでに他の椅子もみ~んな座って、壊してあげたら?」
奥さんの笑い声が、再びデッキで大きくはじけた。
                          キーマ




今回、作ったナン手作りのイス
2人掛けのどっしりタイプ。
脚はストーブ用の薪、冬に備えて貰ってきたものをそのまま利用した。
天板に比べて、ちょっと大きいかな?
でも愛嬌、愛嬌・・・。
あれ以来、デッキでお茶を飲む人は、なぜだかここに座りたがる。

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4~5年前に作ったコーヒーテーブル。
自宅で使いたかったが、サイズが狭いデッキにちょうど良かった。
今では、ディスプレイ用にも使っている。
後ろに見えるのは、買ってきた椅子、念のため・・・。

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これも今、ギャラリーのデッキで使っているテーブルだ。
このテーブルでお茶をした人は、ナンの手作りだってこと
気づいた人もいるかもしれない。
もう何回も修理して、色も塗りなおして使っている。
ナンは、大工仕事の時、嬉々としてやっている。
どっちの仕事が好きなんだろう・・・。

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貰った板を利用して作った棚。
曲がった形をそのまま利用した。
ギャラリーの棚は、全部ナンの手作りだ。
実はこの棚、何人もの人に売って欲しいと頼まれた。
ナン、商売になるかもよ・・・。

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桃林窯おなじみの「包・パオ」シリーズ。
最近、ケーキセットのコーヒーを、これでお出しすることがある。
手に取るにはちょっと重いかもしれない。
存在感のあるこんなカップでコーヒーを楽しむのも
今からの季節には合うかもしれない。

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今月のギャラリーのおやつセットは、これ。
カップに入った、ショコラケーキだ。
濃厚な味にブランディーが効いている、大人の味。
うちのコクのあるコーヒーによく合うと思う。
定番にしてほしいというリクエストが、リピーターに多い。
色付いたカキの葉っぱを添えて・・・。

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カップは、新作。
ナンがつい先日、気ままに作っていた。
形が面白かったので、おやつセットに使ってみた。
みなさんの前には、初登場だ。
いちど、食べてみてくださいね。

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by my_utuwa | 2009-10-03 00:13 | 日々の暮らし | Comments(30)