シド・・。
何年か前に、お客様から頂いたメダカのシドは
もう3~4年ほどを生きている。
小さな水槽の中で、3~4年・・。
シドの水槽を覗くたびに、シドに済まないような気持ちになる。
シドはたった一匹で水槽の中で暮らしている。
最初から一匹だったわけではない。
2匹もらったたけれど、片方が死んでしまって結果的に一匹になった。
シドは、もう一方のメダカにいつもいじめられていたようで、
一匹になってしばらくは、とても嬉しそうにしていた。
でも、ずっと一匹ではかわいそうだと思い、
ある日ナンが小さな金魚を4匹買ってきた。
金魚はなぜだか、毎日一匹づつ死んでいった。
そうして5日目に、シドはまた一人ぼっちになってしまった。
1年ぐらいたったある時、裏の湖から小さな川エビをすくってきた。
シドは珍しがって、泳ぐたびに川エビに近づいていたが
川エビにとってはストレスだったのか、これもまた4日目に死んでしまった。
半年後、今度はメダカの稚魚をすくって再び水槽に入れてみたけれど、
シドは稚魚の後を追いかけて、すっかり怖がらせてしまった。
稚魚も再び、死なせてしまったらいやだと思い、
すぐさまもとの湖に返しにいった。
それ以来、シドはずっと一匹でいる。
ピッキーやクンが水槽の水を飲みに来ると
遊んでもらえるとでも思うのか、猫の口元まで喜んで浮いてくる。
猫たちはシドを住人と知っているのだろう、
横目で見ながらもけっして取ったりはしない。
「でもシド・・、広い湖で泳いでみたい?」と心で問いかける。
自分だったら、どうだろう・・。
やっぱり広い所で泳ぎたいと願うだろう。
たとえ厳しい環境の中だとしても、思いっきり生きてみたい。
せっかく生まれてきたんだもの・・。
シドの世界は、この中がすべてだとナンは言う。
「もしシドを湖に放してやったら、シドはすぐに食べられて死んでしまう、
不自由の中にしか自由はないんだよ。」
「そうね、シド・・」
シドは、小さな背びれを動かして答えない。
どっちがいい・・?
日の当たる小さな水槽の中は、外の寒さとは裏腹に
今日も静かで穏やかな時間が過ぎている。 キーマ
<作品の紹介>
小さな足が付いた粉引きぐいのみ。
手の中の収まり具合が何とも気もちがいい。
寒い日は日本酒をお燗にして、こんなぐいのみでゆっくり楽しむのもいい。
ぐいのみいろいろ。
奥に見えるのにも、小さな足が付いている。
ロクロ目を生かしたシンプルで、少し大きめのぐいのみ。
お酒好きには、これくらいの大きさがいい感じだ。
おそろいの片口酒器と・・・。
少し小ぶりの酒器は、女性にも人気だ。
手前は、平たい粉引きの盃。
片口いろいろ。
酒器はもちろん、だし入れや湯さましなどにも・・。
片口ファンはとても多く、コレクターも多い。
次の個展にはこれらを出品します。
どうぞお楽しみに・・・・。
個展のお知らせ
場所) 佐賀玉屋南館6階ギャラリー
ローズルーム
佐賀市中の小路2-5
☎0952・24・1151
http://www.saga-tamaya.co.jp
期間) 3月6日(水)~11日(月)
AM10:00~PM6:30
(最終日 5:00)