窯から上がったばかりの焼き物は、高台の裏がざらざらしていて
そのままでは使うことができない。
そのざらざらを磨いてきれいにすることが、焼き物作りの最終工程になる。
工房には高台裏を磨くための道具がいくつかある。
サンドペーパーや砥石を使うこともあるが、主にはダイヤモンド粉を練りこんだ
エピスロンと呼ぶ、ピザくらいの大きさのゴム板を回転させ、
それに焼き物を押し付けて磨くことが多い。
頑固なざらざらは、小さな砥石をリューターと呼ぶ機械に取り付けて、
高速回転させて削り取ることになる。
ある日工房に来ていたキーマに、作業台に置いていたリューターを
手渡してくれと頼んだことがあった。
リューターを使って作業をしているとキーマが、「何と言う名前?」と聞いてきた。
「これ? リューター。」 僕は答えた。
キーマは独り言のように「名前を付けたんだ。」と言った。
「名前と言うか、呼び名は何にでもあるさ。」又僕は答えた。
会話の中になんとなく「???」が飛び交っていて、ちぐはぐな感じがする。
僕はキーマに、
「英語なのかドイツ語なのかは知らないけれど、昔からこれはリューター。」と言った。
・・・「えっ?」[竜太じゃないの?]
キーマは、
箱に入れて大事そうに使っているリューターに、僕が竜太という名前をつけて
大切にしていると勘違いしたらしい。
思わず噴き出して腹を抱えて笑ってしまった。
工房に手伝いに来ている窯大生たちも大爆笑。
このことがあってから僕は、工房で竜太を使うたびに苦笑いをしてしまう。
ナン
前回の窯で上がったコーヒーポット。
焼締めのポットは久しぶりに作った。
内側には茶漉しを付け、紅茶や、日本茶などにも
使えるようにしている。
ポット類は組み立てるまで形が見えず、気を抜けない。
天気予報を見て、乾燥に気をつけながら
取っ手や注ぎ口のパーツを組み立てる・・。
奥・・コーヒードリッパー
ポットの上にドリッパーを直接のせて、ドリップができる。
ドリップしている間に使う、蓋専用の台皿も作った。
大きさや形から言うと、ネルドリップ向きかな。
キーマの強いリクエストだった。
コーヒーウォーマー
ずっしりとした角型。
上から下へ向かうグラデーションは、気に入っている。
中にはキャンドル入れの器が付いている。
休みの日、コーヒーを楽しむ時にウォーマーに火を入れて
ゆっくり過ごしてもらえればと思う。
ミルク入れと砂糖入れ
左はコヒー用ミルク入れ。手のひらに乗るくらいの小さいサイズ。
手びねりで作ったので、手の中でのおさまりがいい。
火むらが綺麗で、ミルクの切れもいい。
三つ足付きの砂糖入れ。
これも手びねりで作っている。栗の皮のシュガースプーン付き。
ぜんぶ並べて、写真を取ってみた。
渋い雰囲気がある。
深入りのコーヒーとかどうだろう。
喫茶で使っている粉引きの珈琲椀。
取っ手が平らなのは、お客さんからのリクエストだ。
口に当たる縁を、玉縁に・・。
これもお客さんからのリクエストだった。
作ってみたら、以外と使いやすかった。
カズラ付き粉引きカップ。
手びねりで作っているので形はいろいろ。
カズラも山から採ってきたて自分で編んだ。
途方もなく時間がかかるため、
最近はあまり作らなくなった。
個展に出すと完売するが、作家泣かせでもある。