慣れない針仕事
2012年 01月 24日

桃林窯は、静かな冬の真っただ中にある。
時折冷たい北風が、すっかり葉っぱを落とした木々を揺らしてゆく。
ストーブにかけたやかんが音を立てる以外に、物音はない。
ゆっくりとした時間だけが過ぎている。
ナンは、春の個展に向けた作陶を始めた。
私はというと・・・、慣れない針で格闘する日々が続いている。
エプロンブランドを立ち上げたのは、去年の冬だった。
気軽に始めたつもりのエプロンだったが、はじめてみると
いきなり苦手な針仕事にぶつかった。
もともとデザインは好きな方で、何でも絵にしてみたくなる。
絵を描けば何とかなると、思っていた。
お裁縫が好きな人に描きあがったデザイン画を持っていけば
エプロンのパターンを簡単に起こしてもらえると思っていたのだ。
ところが、絵を描いていくら説明してもなんともならない。
細かなニュアンスが伝わらないのだ。
「違うんです。もっとこう、ふわっとした感じ・・・、
そう、ふわふわと揺れてほしいんです。伝わりますか?」
「ううん、わからない・・・、バイヤスにするの?何ミリで縫えばいいんですか?」
「えっ?ミリ?何ミリって言われても・・」
そんな会話が空しく過ぎてゆく。
自慢ではないが、細かな仕事は大嫌いだ。手が硬く緊張してくるし、
針に糸を通すだけでも、頭をかきむしって叫びたくなる。
そんな私が一大決心をして針を持った。
お針子さんに伝えたいニュアンスは、やっぱり実物を見てもらうのが一番だ。
やりはじめると、奥が深くてどんどん深みにはまってゆく。
最初に何をするつもりだったかさえ、忘れてしまう。
気がつくと切り刻まれた布だけが、山積みとなっている。
指は、刺した針でズキズキする・・・
「何をやっているんだろう・・・」
だけど自分で決めたことだから、やり遂げなくっちゃなぁ・・
春に向けての新作のエプロンは、
慣れない針仕事とお針子さんとの格闘の末、出来あがる・・・。
キーマ

最近上がったピスタチオグリーンのエプロン。
ハリのある麻の一枚布で贅沢に作った。
裾のラインにも遊び心を持たせて・・・。
ふんわりと結んだリボンが揺れる、後ろ姿限定美人だ。

ピスタチオグリーンと色違いの、生成りのエプロン。
ちょっとわかり難いけど、ポケットは大きめ。
裾に合わせた変形ポケットは、ちっちゃなカラーテープがアクセント。


「作品の紹介」
貝形の小さい箸置きは以前から作っていたが、これは手のひらサイズ。

惑星シリーズの大皿と手びねりの取り皿。

総織部のボウルと角小皿。
楕円形の器はカレー用。

白粉引きシリーズのポット、マグ、中プレート。

# by my_utuwa | 2012-01-24 22:20 | Comments(8)

